JeNGa

TOA ジェイド×ガイ

ガイの家に無断侵入ジェイドの話。

グランコクマ宮殿に灰色の雲が覆う。

今日も貴族院での仕事を終えた青年が帰路に立っていた。
その青年―ガイはふぅ、と疲れを吐き出すように一息つき歩を進める。
毎日の貴族院での仕事は楽なものではない。
始めは貴族と言う扱いに慣れなかったが、
今ではガルディオス伯爵としての自覚も持ち、それなりに仕事をこなしている。

しかし毎日が忙しく、なかなか自由な時間がない彼は、いつにも増しても疲れていた。
気休めにしかならないが、自分のご褒美に何か買っていこうと思い、
重い足を商店街へと歩み直した。


ガイが家に着く頃には雲はなく、夜の月と星が目立つようになった。
ガイの家はいつもは誰もいないので明かりは全くついていないはずなのに、リビングあたりから光が漏れていた。
この家に自由に出入り出来るのは…そう、あの人しかいない・・・。

「ジェイド」

声をかけた相手―ジェイドはキッチンに向かいガイに背を向けていた。
ガイに気付くとこちらを向いてお帰りなさい、と微笑んだ。
その笑みをみて、ガイは顔がふっと緩んだような気がした。

「どうしたんだ？こんな時間に」

「今日は陛下から休暇を頂いたのです。
　夕食を作ってますからそこで待ってて下さいね」

そう言ってジェイドはまたキッチンに立つ。
あんたはどこの嫁だよ、と苦笑しながらジェイドに嫌味を投げ掛けたら、
今夜は豆腐料理ですかねぇとか冗談めいた事をジェイドは言い返す。
やっぱあんたみたいな妻はいらない、と返しながらガイもキッチンに立ち、ジェイドの手伝いをする事にした。


「ごちそうさまでした！美味かったぜ」

ガイの大好物の魚貝類づくしの料理に満足げに手を合わせてジェイドに笑いかける。
ジェイドも同じく嬉しそうにくすくすっと微笑みで返事を返す。
その行動にガイは疑問に思って何がおかしいんだ旦那？とでも言うかのように首を傾げると、ジェイドはこう答えた。

「元気、出ました？」