金色のコルダ 月森夢
月森で体の一部シリーズ
その2 「唇」
07年の作品漁ってみた ~文章変なのは過去作品だから~
そんなどうでもいい企画、そのに。
月森で体の一部シリーズ
その2 「唇」
07年の作品漁ってみた ~文章変なのは過去作品だから~
そんなどうでもいい企画、そのに。
ただいま試験期間。
必死に勉学に慎もうと自宅へ歩き出した彼女を、何も知らない彼は彼女を引き止めた。
少し聞いていかないか?
きっとヴァイオリンの事だろうが彼女は今日まで勉学に手が付かず切羽詰まっているのだ。
その焦りを彼が勝手に解釈し、息抜きに聴いてくれれば良いと言う。
いつもは控え目な彼が珍しく強引に誘うなんてらしくないなどと思ったが彼は私を帰す気はさらさらない。
仕方ない。今日は勉強は諦めて彼のヴァイオリンに囚われよう。
おとなしくなった彼女を彼は連れていくのであった。
森の広場まで来てヴァイオリンに日光が当たらないかつあまり人がいない場所を探し2人は座り込んだ。
彼は軽くチューニングをした後、リクエストは?と聞いてくるので息抜きだしからかってやろうと校歌を頼んだがあっさりと弾きこなされてがっかりする。
しかもリクエストを馬鹿にされて悔しかったのでヴァイオリンを構える彼を舐めるように見つめて困惑させようと企む。
が、彼の唇が切れていた事に気付いた。
「唇が荒れてるね」
ほら唇切れてる、とティッシュを取り出し彼の唇から出た血液を拭き取る。
彼女がこれ以上荒れないようにとリップクリームを取り出すと何か閃いたように彼女の目が輝いた。
「目、閉じて?」
大抵彼女が月森に何かする事は下らないか不愉快かのどちらかだ。
それが自分だけに向けられた悪戯なのは嬉しいがその大胆さにドキドキというかヒヤヒヤというか…。
警戒の意を込めて輝いた瞳に目配せすると彼女は残念そうに目を逸らした。
「あんたのお願い聞いたんだから、私のお願いも付き合ってよ」
「…もしかして俺が君を誘った事、怒ってるのか?」
「違う。そうじゃなくてあんたはノリが悪いから言ってんの」
「…君も校歌のリクエストとはノリが悪かっただろう」
こうやっていつもお互い嫌味を言い放ってしまう。
違う。
こんな事したかったんじゃない。本当はもっと有意義な時間を…。
突然彼女は彼の頬に手を添えた。
少し驚いた彼をなだめるように精一杯背伸びして瞼にちゅっとキスをする。
その隙に頬に触れていた片手を彼の顎に滑らせる。
「はーい大人しくしないと綺麗に塗れないからね」
いつの間にあの輝いた瞳を復活させたのか。
ぎょっと驚く彼を尻目にリップクリームを構えた彼女が彼の顔を捉える。
ここまで接近されては、もう全てが彼女のされるがままで。
「リップ塗るよ?」
「…塗ればいいだろう」
「…恥ずかしいから目瞑って?」
ここまできて恥ずかしいもないだろうが、彼は観念したよう目を瞑る。
よしよしいい子だね、なんて声を掛けながらそれを唇に塗ってやる。
「うん、これで満足」
もう動いて大丈夫ですよー、子供に話しかける様にまた頭をポンポンと撫でられる。
「もう満足しただろう。どいてくれないか?」
「誘ったのはそっちなのに?」
「…これでは誘った意味がないだろう」
「へ?」
「君にヴァイオリンを聞かせたくて誘ったのを忘れたのか」
「そうだった…で、今日は何を聞かせてくれるの?」
月森から離れて隣りに座りきょとんとした顔で覗き込んで来た彼女をみてふいっと顔を逸らし月森は一度目を伏せた。
顔が近い。
「リクエストは?」
照れ隠しにそう言うと彼女は嬉しそうにこう言った。
「折角リップ塗ったからキスとか、どう?」
まあ何と言われようがもうすでに弾く曲は決まっていた。
後でたくさん、それも嫌ってほどにキスをしてやろうと思いながら、彼は嬉しそうにヴァイオリンを奏でたのだった。
必死に勉学に慎もうと自宅へ歩き出した彼女を、何も知らない彼は彼女を引き止めた。
少し聞いていかないか?
きっとヴァイオリンの事だろうが彼女は今日まで勉学に手が付かず切羽詰まっているのだ。
その焦りを彼が勝手に解釈し、息抜きに聴いてくれれば良いと言う。
いつもは控え目な彼が珍しく強引に誘うなんてらしくないなどと思ったが彼は私を帰す気はさらさらない。
仕方ない。今日は勉強は諦めて彼のヴァイオリンに囚われよう。
おとなしくなった彼女を彼は連れていくのであった。
森の広場まで来てヴァイオリンに日光が当たらないかつあまり人がいない場所を探し2人は座り込んだ。
彼は軽くチューニングをした後、リクエストは?と聞いてくるので息抜きだしからかってやろうと校歌を頼んだがあっさりと弾きこなされてがっかりする。
しかもリクエストを馬鹿にされて悔しかったのでヴァイオリンを構える彼を舐めるように見つめて困惑させようと企む。
が、彼の唇が切れていた事に気付いた。
「唇が荒れてるね」
ほら唇切れてる、とティッシュを取り出し彼の唇から出た血液を拭き取る。
彼女がこれ以上荒れないようにとリップクリームを取り出すと何か閃いたように彼女の目が輝いた。
「目、閉じて?」
大抵彼女が月森に何かする事は下らないか不愉快かのどちらかだ。
それが自分だけに向けられた悪戯なのは嬉しいがその大胆さにドキドキというかヒヤヒヤというか…。
警戒の意を込めて輝いた瞳に目配せすると彼女は残念そうに目を逸らした。
「あんたのお願い聞いたんだから、私のお願いも付き合ってよ」
「…もしかして俺が君を誘った事、怒ってるのか?」
「違う。そうじゃなくてあんたはノリが悪いから言ってんの」
「…君も校歌のリクエストとはノリが悪かっただろう」
こうやっていつもお互い嫌味を言い放ってしまう。
違う。
こんな事したかったんじゃない。本当はもっと有意義な時間を…。
突然彼女は彼の頬に手を添えた。
少し驚いた彼をなだめるように精一杯背伸びして瞼にちゅっとキスをする。
その隙に頬に触れていた片手を彼の顎に滑らせる。
「はーい大人しくしないと綺麗に塗れないからね」
いつの間にあの輝いた瞳を復活させたのか。
ぎょっと驚く彼を尻目にリップクリームを構えた彼女が彼の顔を捉える。
ここまで接近されては、もう全てが彼女のされるがままで。
「リップ塗るよ?」
「…塗ればいいだろう」
「…恥ずかしいから目瞑って?」
ここまできて恥ずかしいもないだろうが、彼は観念したよう目を瞑る。
よしよしいい子だね、なんて声を掛けながらそれを唇に塗ってやる。
「うん、これで満足」
もう動いて大丈夫ですよー、子供に話しかける様にまた頭をポンポンと撫でられる。
「もう満足しただろう。どいてくれないか?」
「誘ったのはそっちなのに?」
「…これでは誘った意味がないだろう」
「へ?」
「君にヴァイオリンを聞かせたくて誘ったのを忘れたのか」
「そうだった…で、今日は何を聞かせてくれるの?」
月森から離れて隣りに座りきょとんとした顔で覗き込んで来た彼女をみてふいっと顔を逸らし月森は一度目を伏せた。
顔が近い。
「リクエストは?」
照れ隠しにそう言うと彼女は嬉しそうにこう言った。
「折角リップ塗ったからキスとか、どう?」
まあ何と言われようがもうすでに弾く曲は決まっていた。
後でたくさん、それも嫌ってほどにキスをしてやろうと思いながら、彼は嬉しそうにヴァイオリンを奏でたのだった。
PR